「長曾祢虎徹」

「いつのまにか、勝太が股間をまくりあげているのである。異物が勝太の両掌のなかで雲をえた竜のように天にむかって動いている」 司馬遼太郎が書いた、初恋の少女に自分の股間をさらけ出して、赤誠を示す少年勝太である。この宮川勝太少年が後年、虎徹を振る…

「贋物(にせもの)作りの話」

18世紀後半より以後に作られた刀剣を新々刀(しんしんとう)と呼びますが、その中でも名工の誉れ高い大慶直胤(たいけいなおたね)の息子直勝の弟子に、細田直光という刀工がいました。しかし刀剣界ではこの名前ではあまり知られてなく、「贋物造りの鍛冶平」の…

「無銘刀 本当の作者は。小松正宗の話」

『刀剣名物帳』の上巻、正宗の部の筆頭に「小松正宗」という短刀が挙げられています。 製作されたときから無銘(これを生(う)ぶ無銘という)で、長さは九寸七分半(29、3㎝)。名物帳の解説文は現代文になおすと「小松中納言利常公が正宗としてお買いになって、…

「折り紙付き」と「札付き」

折り紙付きと札付き。取り違えそうによく似た言葉ですが、意味はまったく反対です。小学館の『国語辞典』によると、折り紙付きは「確かなものだと、うけあうこと。保証つき」とあり、「札付き」は「わるいと定評のあること、また、その人」とあります。そし…

「消えた名刀」

現在我が国には300万本とも、400万本ともいわれる日本刀があるそうです。たしかに刀剣登録制度ができて70年近くなる今でも、数百本の刀が新規登録されています。膨大な数の中には、国宝や重要文化財に指定されている名刀から、野鍛冶が作ったような鈍刀まで…

「刀を見る、観る、鑑る」

博物館や名刀展で、背伸びをしたり腰をかがめたり、果ては顔をスライドさせている人を見掛けたことはありませんか。何をしているんだろうと不思議に思うかもしれません。 実は、その人は刀を鑑賞しているのです。 日本刀は砂鉄を溶かして、その鉄を1000度く…

「刀の名前」

刀にはさまざまな名前があります。正宗、国広、虎徹。そして包丁正宗、山姥切国広、蜂須賀虎徹などなど。 刀剣は基本的に作者の名前をもって呼びます。正宗が作ったから正宗。国広や虎徹の作だから国広、虎徹。ですから同じ名前で呼ばれる刀剣は何本もあるの…

「龍馬降臨」

コロナウイルス騒ぎで、外出もままならぬ日々を送っていたら、東京・杉並の古書画店からの通販カタログが届きました。この店とは先代からの付き合いです。 歴史ある店ですから決して安くはありませんが、品物は信用できます。 それでもコロナショックで多少…